〈entrust to・・・〉
*****
浅いキスを繰り返しながら互いの服に手を掛ける。
艶めかしく動く舌を受け入れたあとは、いつものように
優しく押し倒してくれるもの、と銀次は思っていたのに。
スグそこにベッドがあるにもかかわらず、蛮は銀次を壁に
押しつけて、そのままコトに及び始めた。
「あっ・・蛮ちゃん・・なんで・・・」
全てを脱ぎ終わる頃には、すでに充分反応していたソレを
やんわりと握られて、銀次は声をあげた。
「オメーの立ち姿が気に入ったんだよ」
「んっ・・だからって・・どうして・・・」
「ワケなんざねーケド」
焦らすような、ゆっくりとした右手の動き。
「あっ・・・あん・・やっ・・」
「・・・一度、オメーをこうしてみたかった・・」
首筋へキスをしながら蛮が凭れてきた。
耳の後ろで低く響いた誘いが、銀次をドキリとさせる。
「なぁ・・・このまま・・イイだろ?銀次」
「っ・・あっ・・・でも・・」
「でも・・なんだよ?」
甘い疼きが僅かな苦痛を伴って襲い、
銀次のヒザを緩めようとするから・・・。
「オレ・・きっと・・・立ってられないよ・・?」
それでも逃げたり拒んだりせず誘いを受けようとする。
銀次の恥じらいを含んだ返答に、蛮はふと微笑した。
「肩、掴まってろ」
テメーの快楽に正直で、心から自分を慕って身を任せ
おまけに顔も躰も最上級、とくれば・・・
―――愛しくねーハズはねぇし。
―――もっともっと、ヨクしてやりてぇ。
ひねくれた思考でノロケると、左腕でしっかりと
銀次を抱えて手の動きを早めていった。
「あぅっ・・やっ・・・ねぇ・・あ・ぁ・・」
「銀次・・いつもよか敏感だろ?」
「・・んっ・・だっ・・てぇ・・」
「イイんだぜ?もっと喘ぎな」
躰を密着させて押さえ込まれ、身悶えもままならない分
内に籠もった快感の全てが銀次の中心を煽っていく。
近頃では様々な体位に慣れてきた、とはいえ
あの銀次が、こんなに大胆な状況をOKするようになるとは・・・
愛情の証に躰を繋げる、なんて幼稚な段階を
どうやら卒業したってトコか。
―――これから先、お楽しみが増えそうだ。
すんなりと伸びたノドに赤く所有の印を付けると
鎖骨の端に軽く歯をたて、窪みへと舐め下ろす。
「は・・ぅ・・・・・っあ・・ぁ」
首周りでは、とりわけ銀次の弱いトコロ。
知り尽くしたポイントにゆっくりとキスを与えながら
銀次の先端に指の関節が当たるよう、巧みな扱きで愛撫する。
「あっ・・・あぁ・・・・くっ・・・ぁ」
蛮の右手の中で、くちゅくちゅと潤いの音が
高くあがってきた。
「ぁ・・んっ・・・ダメぇ・・ばんちゃ・・」
銀次は崩れ落ちそうになる上体を、必死で壁に預けている。
「しっかり立ってろよ・・・」
「う・・・ん・・」
スっと蛮の頭が沈んだ。
「は・・・ぅ」
胸の突起を舌で転がし、時々強く吸い上げてやると
手の中のソレが熱く脈打った。
脇腹から腰へかけて、少しずつキスを下ろしてゆくと
膝立ちになる蛮の肩を、切なく銀次の指先が追う。
蛮は銀次の柔らかな太股を抱え直すと
一旦、ワザと唇の動きを止めた。
「やっ・・・イヤっ・・あ・ぁ・・・ん」
銀次の中心を煽る、コリコリとした指での刺激が
もうすぐ、あの、熱さに取って代わる・・・
その感触を生々しく覚えている躰がゾクリと震えて、
どうしても腰が動いてしまう。
「銀次ィ・・・カーワイイぜ?」
「もォ・・いじわ・・る・・」
クスっと楽しそうに蛮は笑いを洩らして、
ピクリと己を催促するソレを、ゆっくりと咥内に含んでやった。
「ああぁっ!・・っあ・・ふ・・」
右手の扱きと連動させて先端から根本、裏へと舌を這わせ、
余すトコなく刺激を与えた。
「っあ・・っ・・あ・ぁ・・・・ん」
銀次が壁に爪を立て、快楽に溶けてゆく躰を必死に支えていると、
イく時のなんとも色っぽい表情が見たくて
蛮は寸前の絶妙なタイミングで愛撫を止め、立ち上がった。
「くっ・・蛮ちゃん・・・オレ・・」
「わーってるって。今、一押ししてやっから・・」
縋り付く銀次に言い聞かせ、上気した頬に口づけたが
銀次は小さく首を左右に振った。
「違う・・1人で・・イきたく・・ない」
「・・・ん?」
「ねぇ・・このまま・・・来て?」
「・・・・・・」
真っ向から甘い声で懇願されてしまった。
さすがに本番は、ベッドの上で仕上げてやるつもりだったのに。
銀次が追いつめられたぶん、蛮だってホントは
そう余裕がある、というわけでもなくて。
「ったく、オメーは・・・」
「な・・・に?」
「・・・なんでもネェよ」
―――お望みどうりに、続行決定。
銀次にあらためてしっかり抱きつくよう促した。
先端から伝い落ちる先走りの密を絡め取り、つぼみに塗りつける。
耳たぶを甘噛みしながらそっと指を埋めて
充分に溶かしてやった。
それでも片足を抱え上げた瞬間、身を固くした銀次を見やると
深くキスしてやりながら、ゆっくりと差し入れた。
「・・・んぅ・・・っぁ・・ああぁっ!・・」
根本まで入った後は、痛みを堪える銀次の吐息が
甘さを含むようになるまで、しばらく動かず中の熱さを楽しんだ。
蛮が律動を開始すると、吸い付くように締め上げてくる。
「・・・あ・・んっ・・ぁっ・・あ・・ぁ」
「・・・クッ・・・たまんねェ・・、」
2人して立ったままの繋がりは初めてで。
その意識が余計に扇情感を煽ってゆく。
銀次の背が壁を押す反動を、見計らったタイミングで蛮が突き上げる。
絶え間ない2重3重の衝撃に、銀次は何度も意識が飛びそうになった。
「・・・っ・・・銀次・・・」
「・・な・・に・・ばん・・ちゃん」
「・・大丈夫・・か」
「・・んっ・・イイよぉ・・・すっごく・・イイ」
律動に合わせて、時には不意に。
キツく締め付けてくる銀次の内壁を
押し返すように、脈打つソレを蛮は繰り返し挿入した。
ギリギリで堪え、先走りに濡れて張りつめた銀次のソレが、
蛮のしなやかな腹にこすれて鮮やかに色付く。
一番敏感な部分で、とろけるような摩擦を味わい
互いに昂まり合っていった。
*****
呆れたように肩をすくめ、蛮はようやく気が付いた
銀次を見下ろして一発くれてやった。
「―――このタコっ!!」
「って〜〜!!なんだよぉ、急に」
「肝心なときに、くだらねー気絶してんじゃねぇ!」
「・・・へっ??」
いつのまにか、ベッドに寝かされている己を見やる。
すでに身支度を終え、くわえタバコで不機嫌そうな蛮と目が合うと
銀次は急に経緯を思い返して真っ赤になった。
オレ、あんな、ハズカシいカッコで・・・
蛮ちゃんとえっちしちゃったんだ!
かなり啼かされて、でも、頑張って堪えて・・・
そのあと、ふと気が緩んで、そして・・そして・・・どうしたんだっけ?
「せっかくオレ様がイかせてやってんのに!
情けねーなぁ・・・ったく」
「んぁっ!そうだ・・オレ、後ろにゴンって倒れて・・」
解放直前にのけ反った銀次は、思いっきり派手な音をたてて
頭を壁にぶつけてしまい、そのせいで気を失ったのだ。
「思い出したか、このアホ!」
「うぅー。蛮ちゃん、ゴメーン」
「行き場のねぇオレ様の熱を、どーしてくれんだよ!」
「だってぇー。蛮ちゃんがあんなにグイグイするから・・・」
「あぁっ?オレ様が、なんだって?」
「・・・うきゅ。なんでもありませーん・・・」
まぁ、今更コイツに怒っても・・・と、蛮は溜息をついて
銀次のスグ横に寝転がった。
「・・・ホントにごめんね、蛮ちゃん」
「しゃーねぇだろが」
「ツラい?苦しくない??」
「バーカ。いいんだよ、もう」
今度は、溜息がわりに煙を吐き出した。
そりゃ、あん時は腹が立ったケド。
疼くテメーをなだめるオレ様の前で、無防備に寝やがるし。
それでも、本当は。
コトに気を取られて、銀次を受け止めきれなかった
自分に腹を立てているのだから・・・。
・・・タバコを消し、身を返して肩肘つくとニヤリと笑い
「次は、倍にして借り還してもらうかんな?」
銀次の額を小突いてやった。
「あいっ・・覚悟・・してます・・」
「今日のトコロは許してやるよ」
蛮が苦笑してそう言い、しゅんとした相棒に腕を伸ばすと
銀次は嬉しそうに胸元へ転がってきた。
互いの鼓動をカンジながら、先程までの激しさとはうって変わった
穏やかな心地よさを、しばし楽しんだ。
「・・しっかしオメーはなぁ、どーしてあそこまで
何もかもオレ様に委ねちまえるんだ?」
自分で半ば強引にリードしているクセに
蛮がふと、そんなコトを口にすると
「あ、それはね。オレ、身もココロも蛮ちゃんに捧げちゃってるからv」
「のわっ・・!」
満面の笑みで蛮に抱きつき、『大好き』とキスを繰り返して
銀次は楽しそうに笑った。
・・・コレだから・・・
銀次のヤローにはかなわねぇ、と思ってしまった。
ケド、何だかそれも悔しい気がして
蛮はもう一度銀次のアタマを叩いた。
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すっ・・・スイマセン〜。。。
『ラヴイチャで、エロOK』というリクエストを頂いたのに・・・
エロだけぢゃん!(爆)
ちょっとヘタレな美堂さんが続いたので、
たまにはオレ様ぶりを発揮シテいただこうと
張り切ってみたのですが。
せっかくの初挑戦な体位、結局最後までは楽しめなかったねぇ(苦笑)
ごめんね、蛮ちゃんv
そのぶん、コチラも『お初』のキリリク、
ワタクシは充分楽しんで書いちゃいましたv
まさしくヤオイなSSモドキで申し訳ございませんが(汗)
喬也様江、アイを込めて(コラ)捧げさせて頂きマス〜。。。
2004.02.04 真