〈2人の情景〉〜蛮銀〜 *** 『ズルイよ・・・』 コレは、銀次が蛮に対して最近思うコト。 ただし、2番目。 *** 並んで歩いていたハズなのに。 斜め前のスラっと伸びた大好きな背中が 銀次の視界を半分隠す。 足の長さもあるけれど、歩くスピードの違いで いつも気が付くとこうなっている。 毎日歩く道だけど、 ビラを配る歌舞伎町からホンキートンクへの道のりは、 すれ違う顔ぶれ、街の騒音、季節の移り変わり・・・ 銀次にとっては日々新鮮。 つい周りを見回しながらになるから、歩みが遅くなる。 そんなコトは気にもかけない素振りで 蛮はスタスタと先を行く。 でも、決して銀次の声が届かない程の距離を、あけたコトはない。 だから銀次は知っている。 『蛮ちゃん、待ってよー』 そう言いながら、自分が走り寄るのを待っているのだ。 名前を呼ばれ、後ろから腕を捕まえられるコトを 蛮が密かに楽しんでいるのだ、と。 正直、ちょっと納得いかない気がする。 蛮は言葉にも態度にも、 ナカナカ気持ちを表してはくれないのに。 なんだか寂しくって、今日は追いかけずにずっと後ろを歩いた。 蛮の後ろ髪がフワフワと揺れるのを見ながら。 『遅ェぞ』 そんな声と共に、振り向いてくれたらイイのに。 ・・・これだけ距離があいても、蛮は知らんぷり。 銀次は俯き加減で歩いて行く。 *** ホンキートンクへの裏道に入り、角を曲がった瞬間、 すばやく伸びた腕に捕らえられ、よろけた拍子にキスされた。 ・・・モチロン、待ち伏せしていた蛮の仕業。 冷たくしてるかと思えば、 不意打ちで抱きしめてくるなんて・・・。 だから、だから蛮ちゃんってズルイんだ、とやっぱり思ってしまう。 こんなふうに、ココロをかき乱すなんて、反則。 けれど。 甘く優しい口づけと、そのあとの不敵な笑み。 至近距離で、端正なカオが自分だけを見つめている。 気まぐれを装って、照れた様子さえ微塵もなくて。 あの余裕さには、敵うわけがない。 ・・・惹かれずにはいられない。 悔しいケド、やっぱり一番の気持ちは――― ―――『大好き』・・・・・・ |
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エロが続いたので、中和剤!
さわやかカップルになってますか?今更ですけど(笑)
今回は銀次が振り回される方になってもらいました。
いつもセリフから話を作る傾向なのですが、
セリフ無しでも書けるかどうかを試してみたかったのデス。 ・・実験、実験。
内容的にはありがちすぎかなぁ〜★と思って、絵なんかを足してみました!
この『お試し』、ワタクシ的には面白かったので、次は蛮雷を書く予定〜。。。 2004.02.16 真