〈七夕の決戦!〉

*****

 
今日は7月7日、七夕の日。
窓から見える夜空は、近年には珍しく満天の星をたたえている。

さてさて。友達以上、恋人未満な我らが萌えvコンビ。
何やらベッドの上で(!)隣り合って座り(!!)・・・何故か臨戦態勢(!?)


   「いよいよだね、蛮ちゃん」

   「おう」

   「負けないもんね、オレ」

   「てめ、オレ様に勝てると思ってんのかよ?」

   「頑張っちゃうもーん。えいっ!」  

   「おわっ?!」


ズザザーッ。銀次君、いきなり蛮ちゃんにダーイヴ!
あぁ、もう。何なんだろねー。コイツらってばvv


*****


数時間前。


『ウチを含めた近隣一帯で七夕祭りが行われた
 出店からの差し入れが余ったから、イロイロ分けてやるぞー』 


波児からのtelで、2人はラッキー♪とばかりにスバルにて乗り付けた。
ホンキートンクのツートップに混ざって店内の掃除を手伝っていた銀次は、
夏実に何かを言われ、レナに何かを聞かれると、驚いておもわずタレた。
が、急に瞳をキラキラさせて一人何かを想い、
次にリアルモードで蛮の方をチラッとうかがう。
ツートップとこそこそ囁き会うと3人でクスクス笑いこけた。


無関心を装い、新聞を読むフリをしながら、
蛮はそれらを実はしっかりと観察していたのだ。


   (銀次のヤロー、なーにを企んでやがんだ?
    ま、どーせつまんねェコトだろうけどよ。)


なーんて余裕かましてた美堂さん。
コレがちっともつまんなくなかったんだなー。


*****


   「どっちが織り姫なのって聞かれたんだー♪」

 
差し入れにあったビールを飲んでしまったので、酔い覚ましの散歩中。
さっきは何を笑っていたんだと問うと、そんな答えが返ってきた。


   「あ?どっちがって、どーいうコトよ?」

   「仕事中にはぐれるとさぁ、なかなか会えないじゃん?オレ、蛮ちゃんに」

   「・・・話題が飛んでねぇか?」」

   「ホントにさみしいんだよ〜?ツライんだよ〜?」

   「そうかい。そりゃカワイソウによ」

   「雨が降ると、会えないんだよね〜。織り姫と彦星〜」

   「・・・話が見えねェー」


銀次がなんだか、一人ではしゃいだりヘコんだりしているのを、
蛮は内心でカワイく思わないでもないのだが・・・。
こんな時の銀次は、コチラから誘導してやらない限り、
ナカナカ話が進まない。


   「んで?結局何だっつーんだ?」

   「夏実ちゃんがね、『銀ちゃん、はぐれちゃうと、織り姫と
    彦星の気持ち〜?』って言うから、『うん!』って言ったんだ!」

   「ほぉー」

   「そしたらレナちゃんが、『どっちが姫なんですか?キャ〜ッv』って
    言ったんだよ」

   「ケッ。アホらし」


   (何だそんなことかよ。聞いたオレがバカだったな。)

蛮の関心がタバコの方へ急速に向いた時――――――


   「だからオレ、『蛮ちゃんがお姫様に決まってんじゃん。だって美人だもん』って、
    答えたんだ〜vvv」

   「〜〜〜!」


銀次、問題発言。


   「あんでオレ様が姫なんだっ!」

   「って〜。何で殴んの〜?」

   「るせっ!」

   「美人だってホメてんのに」

   「うれしくねェ!」

   「そんなぁ。今日は蛮ちゃんを、ホントのお姫様にしようと思ってんのにィー」

   「〜〜〜!!」


銀次、再び問題発言。


   「ほぉ〜。どーいう意味だァ〜?銀次ィ〜」


パキパキと指を鳴らす蛮の前に、銀次はおそるおそる
一枚のチケットを差し出した。


   「コレ・・・」

   「あ?」 

   「お祭りで配ってたんだって。波児がくれたの」

   「〜〜〜!!!」


   (あんのヤロォ〜〜〜!)


それはなんと、ラブホの招待券。

 『バレンタインもイヴもイイけど、今夜もなかなかロマンチックよv
  七夕day無料サービス中〜☆』

などど書いてある。


   「蛮ちゃん?」

   「――――。」

   「怒ってんの?」

   「――――。」



蛮ちゃんの沈黙はコワイよねっ♪・・・とかなんとか、いつもなら
言い出す銀次だが、今日はどうやら様子がちがう。


   「でも、オレ、本気なんだ。真剣なんだよ蛮ちゃん!もう、ちゃかさないでよ。
    ハッキリ・・・ハッキリさせたいんだよ!」

   「!」


      (ヤベェ・・・銀次なんざに・・・先・・・越された・・・)


最強無敵の美堂さん。かなりダメージを受けました。


   「イヤなの?蛮ちゃん。オレじゃダメ?
    オレ・・・オレ・・・だって蛮ちゃんが好きなんだもん!」


      (おっ。天下の往来で愛の告白かよ?)


   「ずっと・・・ずっと・・・好きだったんだもん!」


      (んなコト考えてる場合じゃねェや。銀次があー言ってんぜ?
       どうするよ?オレ・・・)


   「黙ってないで・・・何か言ってよ蛮ちゃん・・・オレ・・・たまらないよ」


      (う゛ー。チクショ。んな顔すんな。たまらねェのはコッチだっつの)


   「わかったよ・・・ゴメンネ蛮ちゃん・・・ヘンなこと言って・・・。
    オレ・・・先に帰るから・・・コレ蛮ちゃん使って。
    蛮ちゃんモテるからね〜。今日中に使えちゃうね、きっと」



こぶしでクイッと顔をぬぐい、それでもまだホロホロと涙をこぼしながら。
無理して笑って、普段どうりにふるまおうとする銀次。


      (あーそりゃ、オレ様はモテるけどよ。そのケナゲな笑顔はヤメロ銀次。ヤベェって。
      何も言ってねェよオレは。イヤなんて言ってねーよ。っつーかイヤじゃねーよ
      コラ帰んなバカ銀次。待てっつーの、おい!)


   「じゃぁ、オレ、行くね」

   「・・・ったく銀次のクセによぉ・・・」


帰ろうとする銀次の腕をつかみ、蛮はため息をひとつ。


   「行くな」

   「・・・え?」

   「行くな!」

   「ばん・・・ちゃん?」



まっすぐに見つめてくる、その顔といったら・・・。
夜なのに、いや、夜だからこそクッキリと映える白い肌。
暗い道を照らすかのような金糸の髪。
ガキだガキだと思っていたのに、毅然とした意志を秘めた瞳。
つかんだ手の中の、しなやかな腕。


・・・なんて心の中でノロけていても事態は進まないので、
蛮はおもむろに口を開いた。


   「いーか。よく聞け銀次」

   「う、うん」

   「おめェが勝手に暴走して話進めっからよ。少し、混乱した」

   「うん」

   「だけど、もう分かった。おめェの気持ちも、わーった」

   「うん・・・」

   「もっと、こう、ビシッと決めたかったワケよ、オレから。本来なら」

   「うん?」

   「いつかはそうなると思ってな」

   「蛮ちゃん?」


どういうコトだろう。
蛮ちゃんは怒ってないみたい。でも困ったカオしてる・・・。


   「だけどまさか、おめェにお膳立てされるとはよ。
    オレ様をさしおいてよ・・・」

   「蛮ちゃん・・・」

   「決着、つけてやんぜ?銀次」

   「蛮ちゃん・・・ソレって・・・」

   「ん?」

   「ソレって・・・OKってコト・・・?」

   「おう」

   「ば・・・蛮ちゃ〜ん!」



銀次はキュッと蛮に抱きついた。うれしくて、ウレシクテ。
何も言えないから。せめてこうして想いを伝えたくて。


   「けどよ」

   「なぁに?」

   「織り姫はおめェのほうな。ぎーんじっ♪」

   「え・・・えぇ〜〜〜!?」


うれしいケド、何だか事態は思わぬ方にむかうようです・・・。


   「決まりな。おし!チケット使ってやんぜ」

   「ちょ・・・ちょっと待ってよ。ちがうよ〜。違うよ蛮ちゃん」

   「ちがわねェ」

   「ずるいよ、蛮ちゃ〜ん」

   「ずるくねェ」

   「ひどいよ、蛮ちゃ〜ん」

   「ひどくねェ」



・・・こうして、妙なイキオイで、2人は一線を越える運びとなった。



*****



ズザザーッ。

勢いよく蛮にダイヴしたまではよかったが、
押し倒されて下から見上げてくる蒼い瞳に・・・銀次は釘付け。


     (あ〜v美人だなぁ〜。やっぱ蛮ちゃんって、キレイだぁ〜)


銀次は本来の目的も忘れて、見入ってしまった。

 
   「銀次」


密やかに笑い、己の名を呼ぶ。
躯の芯をゆさぶるような、その声も。
シーツに流れる長めの黒髪も。
すべてが好き。大好き。


     (あ〜。おまけにカッコイイしなぁ〜)


   「ぎーんじ」

   「なぁに〜?」

   「・・・さっきのルール、覚えてっか?」

   「うん♪」

   「そうか。んじゃ、いただきっ!」

   「んぁ〜っ」


たちまち体勢は逆転。
ぽけんと蛮に見とれていた銀次は、かんたんに動きを封じられてしまった。


ところで、『さっきのルール』とは。
 2人共、今日、やっと「恋人」になる決心をした。
 2人共、心底お互いに惚れている。そこまではいい。
 しかし、2人共「男」である。好きなヒトとはヤりたい。
 そして、もし、2人がこうなるのなら、当然自分が「抱く」方だ。
 これはゆずれない。


かくして、『組み敷かれてキスされた方が姫。
      電撃ナシ。雷帝ナシ。邪眼ナシ。蛇咬ナシ』という、
『男の一本勝負』(笑)が始まったのであった・・・が。



   「ホレ、どうよ?オレの勝ちだなァ、銀次ィ〜?」

   「まだ勝負はついてないじゃん」

   「いーや。おめェ、お姫様決定」

   「えっ?なんで?」

   「金髪の姫と黒髪の騎士って、絵になんだろーが」

   「なにそれ」

   「んじゃ、おめェの方が小せェから」

   「ちっ・・・小さいって・・・何が?」

   「なんだろな?」

   「なっ・・・何が小さいの?」


頬を赤く染めて、ムキになって聞いてくる銀次。
今の状況をわかっているのか、いないんだか。
かわいくて仕方ない。蛮は笑いをこらえている。


   「ねェ、何が小さいの?オレ」

   「・・・腰回り♪」

   「〜〜〜もう!ほとんどかわんないでしょ!だったら
    蛮ちゃんの方が、体重は軽いじゃないか〜!」

   「だからおめェの上に乗ってんだろが」

   「へっ?」


今更ながら気づいて、銀次は耳まで真っ赤になってしまった。


   「ルールは?」

 
     蛮の前髪が銀次の額にかかる。


   「く・・・組み敷かれて・・・」

   「組み敷かれて?」


     蛮の長い指が頬に触れる。



   「キ・・・キスされた方が・・・」

   「された方が?」


     蛮の薄い唇が降りてくる。


   「ひ・・・め・・・んっ・・・」

   「――――。」



    ―――――銀次の、負け。



――――何も身に着けていないのに、服を着ていたさっきよりも、カラダが、熱いよ・・・。



ホントはね、オレ、いつも助けてもらってばかりだから・・・。
オレにも何かしてあげられること・・・ずっと考えてたんだ。
うーん。結果はこうなっちゃったケド・・・。
蛮ちゃんがシアワセなら、オレもシアワセ。


でも・・・来年、また、勝負しようね?
毎年、毎年、勝負しようね?


   いつかきっと、オレの方が蛮ちゃんを抱けるように
   強くなるからね?




        ―――END

――――――――――――――――――☆――――★―――――――――――――







長いわりには甘甘でもなく、コメディーでもなく、18禁でもなく。
イヤ、これからってトコで終わってます(笑)ゴメンナサイ。すべてハンパです(泣)
ワタクシ的には、二人の『初夜』(!)が書けて楽しかったのデス。
つたない文章ですが、蛮銀好きの皆様江。愛をこめてv捧げさせてください。
  by 大沢 真。 


2003.07.14

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